はじめに
「子供がなかなか寝てくれない…。」
「睡眠時間が少ないと子供にどんな悪い影響があるの?」
このような悩みを抱えた方も多いでしょう。
睡眠不足になるとどんな問題が起こるのか、気になる人もいると思います。
また、なかなか子供が寝てくれない時のオススメな対処法なども知りたいですよね。
今回は子供の睡眠について詳しく解説していきます。
子供の睡眠時間や寝てくれない時の対処法について悩んでいる方は、ぜひ参考にしてみてください。
目次
- 日本の子供の睡眠の現状
- 夜更かしが子供に与える悪影響5選
- 子供の適正な睡眠時間
- 子供が寝てくれない時の対処法
日本の子供の睡眠の現状
日本人の子どもの睡眠時間は、年齢別の推奨睡眠時間より最大2時間近く短いそうです(2021年、株式会社ブレインスリープ)。また、日本小児保健協会が1980年・1990年・2000年に行った幼児期の睡眠習慣に関する調査によると、1歳6か月児・2歳児・3歳児・4歳児・5-6歳児のすべてにおいて22時以降に就寝する割合が増加しているそうです。さらに、厚生労働省が行っている調査では、4歳6ヶ月時点での最も多い就寝時刻は21時台(50.1%)、次いで22時台(21.9%)であり、21時前に就寝する子供は5人に1人以下しかいませんでした。現代っ子の実に4-5人に1人は、睡眠習慣の乱れや睡眠障害など何らかの睡眠問題を抱えているのです。これは親が残業等で帰宅が遅いことも影響しています。お母さんが働いている家庭ではお母さんの労働時間が長いほど22時以降に就床する子どもの割合が多いことがわかっています。親のライフスタイルによって子どもの睡眠に大きな影響を与えているということが分かります。
夜更かしが子供に与える悪影響5選
- 多動性が増加する
- 知能検査の成績が低下する
- 情緒不安定になる
- 理解力や集中力が低下する
- 肥満のリスクが増加する
多動性が増加する
子供の睡眠時間が短いと神経系に悪影響を及ぼし、注意力不足・多動性障害(ADHD)の症状を増幅させることがあります。主な理由は、
- 神経系への影響:十分な睡眠がないと、脳の神経伝達物質のバランスが乱れ、注意力や感情の調整に影響を与えます。これが多動性の兆候を引き起こす可能性があります。
- 疲労と不安:睡眠不足は疲労やイライラを増加させ、子供の行動を不安定にします。これにより、多動性の症状が強調されることがあります。
- 学業への影響:睡眠不足は学業成績にも悪影響を及ぼし、学業のプレッシャーやストレスを増大させる可能性があります。
知能検査の成績が低下する
睡眠は知能の発達と認知機能に直接影響を与えます。子供の睡眠時間が短いと、知能検査の成績が低下する主な理由は、
- 脳の発達:睡眠中、脳は情報の整理、記憶の固定、新しい情報の取り込みなど重要なプロセスを行います。十分な睡眠がないと、このプロセスが妨げられ、知識の取得や問題解決能力が低下します。
- 注意力不足:睡眠不足は子供の注意力を低下させ、集中力が続かなくなります。これは知能テストの問題解決に影響を及ぼし、スコアが低くなる原因となります。
- 判断力と創造性の低下:睡眠不足は判断力や創造性にも悪影響を及ぼし、問題の異なる側面を探求する能力を制限します。これが知能テストでのパフォーマンスを低下させる要因です。
- ストレス増大:睡眠不足はストレスホルモンの分泌を増加させ、不安や緊張を引き起こす可能性があります。これは知能テストにおいて冷静さを失わせ、誤答のリスクを高めます。
情緒不安定になる
子供の睡眠時間が不足すると、不安、抑うつ、および攻撃性が増加するなど情緒不安定になると言われています。主な理由は、
- 神経系への影響:十分な睡眠は神経系の正常な機能に不可欠で、不足すると脳の化学物質バランスが乱れます。これは不安や抑うつの発症に関与し、攻撃性の増加にも影響を与えます。
- 感情調整の困難:睡眠不足は感情の調整に影響を与え、ストレスや情緒の不安定さを増加させます。これが不安や抑うつの症状を強化し、攻撃性を引き起こす要因となります。
- ストレス応答の増加:睡眠不足は身体のストレスホルモン(コルチゾール)の分泌を増加させ、心身にストレス反応をもたらします。このストレスは攻撃性の増加を引き起こす可能性があります。
- 社交関係の悪影響:睡眠不足により、子供は友情や家族関係の適切な管理が難しくなります。孤立感や対人関係の問題は不安や抑うつの原因となり、攻撃的な行動につながることがあります。
理解力や集中力が低下する
子供の睡眠時間が不足すると、理解力、集中力の低下、および姿勢の悪化が生じる主な理由は、
- 脳の疲労:十分な睡眠がないと、脳は疲労が蓄積し、情報の処理と記憶の形成に必要なエネルギーが不足します。これにより、理解力と集中力が低下します。
- 注意力不足:睡眠不足は子供の注意力を減少させ、学習や課題に対する集中力を損ないます。これは学業成績の低下につながり、情報の理解が難しくなります。
- ホルモンの乱れ:睡眠不足は成長ホルモンの分泌にも影響を与え、身長や体格に悪影響を及ぼすことがあります。姿勢の悪化はこれに関連します。
肥満のリスクが増加する
子供の睡眠時間が不足すると肥満が増加する理由は、医学的に確認されています。その主な理由は
- 食欲の調節:十分な睡眠は、ホルモンであるレプチンとグレリンのバランスを保つのに役立ちます。睡眠不足はレプチン(満腹感を調節)の減少とグレリン(食欲を促進)の増加を引き起こし、食欲が増大します。
- エネルギー消費の低下:睡眠不足は身体の基礎代謝率を低下させ、エネルギーの消費を制限します。これにより、カロリーの蓄積が容易になり、肥満のリスクが高まります。
- 運動不足:睡眠不足は子供の体力を低下させ、運動意欲を減少させることがあります。運動不足は肥満の原因となります。
- 心理的影響:睡眠不足はストレス、不安、抑うつのリスクを増加させ、これらの要因が過食や不健康な食事の選択を誘発する可能性があります。
- 食習慣の乱れ:睡眠不足は規則的な食事スケジュールを乱すことがあり、不健康な食事習慣を促進します。
子供の適切な睡眠時間は?
以下は、厚生労働省が発表している年代別の適正睡眠時間です。個人差があり目安ですが、子供の成長のために推奨される時間です。
- 1歳未満: 14-17時間
- 1歳-2歳: 11-14時間
- 3歳-5歳: 10-13時間
- 6歳-12歳: 9-12時間
- 13歳-18歳: 8-10時間
保育園や幼稚園に通い始める子供が多くなる幼児期は、朝7~8時には起きると考えると遅くとも21時には就寝する必要があります。
小学生でも22時までの就寝が理想ですが、日本の共働き家庭が増えている状況では難しいかもしれません💦
子供が寝てくれない時の対処法
・睡眠の質を上げる食事を意識する
睡眠の質を上げる食べ物はいくつかありますが、子供におススメの食べ物をここでは紹介します。
バナナ:身体のコリをほぐしリラックスさせるのに効果的なカリウムを含んでいます。さらに、興奮状態の神経を落ち着かせるトリプトファンも含んでいます。つまり、緊張状態にある筋肉や脳をリラックス状態にする効果があります。
枝豆:女性ホルモンであるエストロゲンとよく似た働きをすることでも有名なイソフラボンが豊富に含まれています。豆乳にも多く含まれていますが、この成分は安眠を妨げる要因の一つ「体のほてり」を抑えてくれます。
お味噌汁:味噌に含まれるアミノ酸は、快眠ホルモンのメラトニンの生成を促してくれます。また、温かい飲み物は風邪の兆候を和らげたり、気分が優れない時に眠りやすくなる効果もあります。
適度な運動をする
適度な運動を行うと体温が上がり、睡眠に良い影響をもたらすといわれています。脳の温度と睡眠には関連があり、脳の温度は日中の活動時間帯には高く、夜には急激に下がって眠気を生じます。寝る数時間前に運動をすると一時的に脳の温度が上がり、就寝時の脳温の低下量が大きくなって眠りに就きやすくなります。ただし寝る直前に運動をすると体が興奮してかえって眠りにくくなるため、夕方から夜にかけて、就寝の3時間ほど前に行うのが理想的です。夕方の4時~5時に子供にたくさん遊んでもらうのがおススメですよ。
就寝環境を整える
寝つきは寝室の環境にも大きく左右されます。室温や布団の中の温度は高過ぎても低過ぎても寝付きが悪くなり、照明が明る過ぎると睡眠の質が低下します。寝室は快適に過ごせる温度に調節し、照明が明るい場合は暗めのものに替えると良いでしょう。必ずしも照明をすべて消す必要はありませんが、不安や不快感を覚えない程度に暗くすることをおススメします。また寝る前にテレビを見たり、スマートフォンを操作したりすると、光の刺激で体内時計が遅れてしまうので注意が必要です。
まとめ
睡眠時間が不足すると、集中力が低下したり肥満や生活習慣病などのリスクが高くなったりします。子供の健康のためには、適切な長さの睡眠時間を確保することが重要です。年齢によっても必要な睡眠時間は変化するので、睡眠時間だけでなく、睡眠の質を良くすることもポイントです。
毎朝同じ時間に起床して光を浴びたり、就寝前の過ごし方を工夫したりすることで、ぐっすりと眠れるようになると思います。
この記事でご紹介した内容を参考に、子供と共に良い眠りの実現を目指してみてくださいね。
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